早産の原因

妊娠・出産

先日早産の赤ちゃんについての記事をアップさせていただきましたところ、

早産の原因についても知りたいというありがたいご意見をいただきましたので

本日はリクエストにお応えしたいと思います。

早産とは、妊娠22週0日から妊娠36週6日の期間に出産することをいい、

早産で生まれた赤ちゃんのことを早産児といいます。

ちなみに出産予定日は40週0日をいい、

正常とされる37週0日から41週6日の出産を正期産、

21週6日以前を流産、

42週0日以降を過期産といいます。

現在妊娠22週~36週にあり妊娠を継続中で、

出産につながりそうな症状が出ている状態を切迫早産と言います。

お腹が張る、下腹部が痛い、出血がある、破水している、子宮の出口が開いている、

子宮の出口の厚みが短くなっている、などの症状があてはまります。

簡単に言うと、「産まれちゃうかもしれない状態」です。

なので、もしかしたら産まれないかもしれない。

けれど、産まれたら早産になってしまうので対策しておきましょう、というのが切迫早産です。

実際に切迫早産の診断で長期入院をして、いざ臨月になったら予定日を過ぎてしまったので

陣痛促進剤で陣痛を起こして出産したという話は産婦人科ではあるある話です。

経験のある方もおられると思いますが、切迫早産は入院期間が長くなりがちです。

24時間持続点滴と、体は元気なのにひたすら寝たきり・・・という入院生活。

赤ちゃんのためと言い聞かせながら、

ずっと管がつながっているストレスと張り止め薬の副作用、寝たきりによる腰痛など、

ママにはストレスが多くなりがちです。

最近では入院治療期間を短くしてもその後の経過が変わらないというデータをもとに、

長期入院は意味がないという考え方が広がりつつあるようです。

今後のスタンダード治療も変わっていきそうですね。

早産には自然に生まれる自然早産と、

何らかの原因があって子宮外に出した方がメリットがあると医師が判断して出産に踏み切る人工早産があります。

人工早産の場合、胎児への負担を減らすためにほとんどの場合帝王切開が選択されます。

どちらも母体側と胎児側という二つの理由に分けられます。

母体側・胎児側というと難しく聞こえますが、これも簡単に言うと、

・お腹の赤ちゃんが子宮の外に早く出たがる場合、

・お母さんの体が赤ちゃんを、体の外へ出そうとする場合

・両方からんでいる場合

ということです。

赤ちゃん側の問題は、遺伝的問題や先天奇形の他、発育が著しく悪い、苦しくて心拍が遅くなる等があります。

母体側は早産の原因になる疾患は、妊娠前からの病気や妊娠中特有の病気がいくつか種類がありますが、

産科で働く気があるのでもない限り、病気の名前を覚える必要はありませんのでここでは割愛します。

臨床で合併症が特になく、早産もしくは切迫早産になる方によくある原因は大きく2つあります。

1つ目は、内臓下垂です。

内臓が重力に負けて足方向に下がっていることが多いです。

多いというか、ほとんどそうなっています。

胃下垂があるという自覚がある方は100パーセント下がっています。

子宮は内臓の中でも下の位置にあるので、上にある内臓の影響を受けやすいのです。

内臓が下がって妊娠子宮も下がると、子宮の入り口に赤ちゃんがダイレクトにぶつかります。

頭が下なら頭突き、逆子ならキックが入ります。

子宮の入り口はデリケートで、刺激を受けると子宮全体がぎゅーっと収縮します。

子宮が下がっている人はそうでない人に比べてお腹が張りやすく、

また基本的にお腹がずっとかたいということも多くあります。

加えて下腹部や足の付け根に違和感や不快症状を起こしやすい傾向があります。

臨月が近づいて子宮が大きくなっている時期や、

赤ちゃんの胎動が刺激となって子宮が収縮することもありますが、

これらはすぐにおさまることが多く、生理的なものとして問題視されません。

回数が多い場合や、1回1回の張りが長い時間続くと

子宮の出口に影響が出る可能性が高くなります。

子宮が下がっているかどうかは、鏡の前で横向きに立ってみればわかります(服を着ていて大丈夫です)。

お腹の一番出ている部分が床と水平方向より下を向いていると、下がっています。

他に、妊婦健診で子宮の長さを測る際にメジャーを当てられる下側の恥骨という骨の上を触ってみます。

その恥骨の骨が終わってすぐにお腹の膨らみが始まっている場合も子宮が下がっています。

正しい位置に子宮があれば、恥骨の上には平らな部分が2〜3センチあって、

その上からお腹の膨らみが始まります。

もしこれを読まれておられる妊婦さんが、「私当てはまる!」という場合は、

体を整えることをおすすめします。

セルフケアでも治療を受けるのでも構いません。

体が整うと子宮や他の内臓の位置が整い、

子宮が上がるのはもちろん、

整理整頓されてお腹の大きさ自体もすっきりします。

子宮が下がっているからといって必ず早産になるわけではありませんが、

胎児への栄養供給、居住環境の快適さ、それからママ自身の体調にも関係しますので、

本当の意味での「母子ともに健康な出産」を目指すのでしたら、ママの体を整えるのが最善です。

臨床で早産・切迫早産になる原因の2つ目は感染です。

妊娠していない時、膣内は通常酸性に保たれていて外部からの異物侵入と感染を防いでいます。

妊娠中は酸性度が下がりやすいため、菌類が侵入・増殖しやすくなります。

健康状態が悪く免疫が下がっていると膣炎を起こしやすく、治療しても何度も再発することがあります。

また、膣を通り越して子宮内まで感染が進むことがあります。

赤ちゃんや羊水を包んでいる膜に感染・炎症が起きると、

子宮収縮が起き子宮の出口に影響が出たり

膜が破れて破水してしまうことがあります。

通常、破水は赤ちゃんが生まれる直前に起きるものです。

まだまだお腹の中にいてほしい時期に破水してしまった場合、破水の程度にもよりますが

状況が悪くなればそのまま早産につながることもあります。

よく妊娠中のセックスに関してマタニティ情報誌などにも載っていますが、精液には雑菌が含まれます。

セックスの刺激による子宮収縮にも配慮が必要ですが、

特に膣炎を起こしやすいような方はコンドームを使用し、感染予防にも目を向けましょう。

陰部の清潔を保つことで侵入を防ぎ、合わせて体力・免疫力を上げていくと感染予防の効果が上がります。

産科に限らず難しい疾患名が出てくるとそこに目が行きがちですが

大事なのは病気の名前ではなく健康状態がどうなのか、です。

病気の名前に囚われるとピンポイントで体を捉えようとしてしまいますが、

もっと広い視野で体全体を捉えると別の可能性が見えてきます。

お腹の張りがある時、まず必要なのは張り止めの薬なのか、

何度も繰り返す膣炎に、同じ薬を使い続けていればいつかは終わるのか。

ちょっと立ち止まって、考えてみることも必要だと思います。

病院の先生の治療も大切ですが、

自分で予防・改善するために、

知っていれば努力できることはたくさんあります。

「母子ともに健康な出産」を迎えるためにできることを考えてみてください。

サポートできる立場の方は、情報を伝えてあげてください。

体を整えることのメリットと重要性を。

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