良い姿勢になろうとするから痛くなる、の巻

健康

「姿勢が悪いから腰が痛くなるんですかね?」とよく聞かれます。

最近姿勢について相談されることが多いので、過去に何度も書こうと思っては断念したこのテーマに再び挑戦してみようと思います。

良い姿勢ってなんでしょうね?
これ、説明が難しいんです。

まず、そもそも良い姿勢のイメージが違うんだよなあ( ̄▽ ̄;)

施術のとき、はじめに後ろ姿を確認させてもらうのですが
小学生くらいの子で、だらんと立っていると、付き添いのママが「気をつけ、ピッ」と声をかけてくれます。

悪気のない、むしろ診やすくしようというご厚意なのは、とてもとてもよくわかるのですが
私が見たいのはそれじゃない

自然に立った後ろ姿が見たいんです。

はい、私の言い回しに慣れている方はこの言葉遊び的な表現でぴーん!ときたかも?

自然に立った姿が見たいのに、「気をつけ」したら見られない

ということは・・・
「気をつけ」は自然ではない
ということになります。

言ってしまえば「気をつけ」は気合を入れてがちがちに体を固めた緊張状態ですので
そもそも長時間やれる姿勢ではないですよね?

校長先生のありがたい(?)お話を聞くとき、礼をするために気をつけをしますが、お話が始まるときに「休め」になるか体育座りを指示されることが多いと思います。
長時間耐えられない姿勢だから「休め」があるのだとしたら、「休め」の方がむしろ自然な姿勢で
運動会などで「休め」がかかると笑ってしまうほどだらんと姿勢が崩れる子も見かけます。

要は「気をつけ」は瞬間芸的に気合と緊張、言ってしまえば無理に体に力を入れることで成立する姿勢であって、
緊張しない(無理をしない)で作ることは通常不可能だということです。

「気をつけ」が日常的に「よい姿勢」だという基準にしてしまうと、よい姿勢でいられる人はほとんどいないはず。
むしろそれをできるとしたらとんでもなく筋肉が強いか、体をいじめて痛みがある状態が好きか・・・

この根本的なイメージが質問してくれる方と私とで大きくかけ離れているため
「姿勢が悪いから腰が痛くなるのか?」という問いに対して、説明がひじょーーーーーーーに難しくなります。

一旦相手のイメージに寄せて説明をするならば
あなたがイメージする良い姿勢というのは「気をつけ」ですよね?
気をつけって、体が緊張している状態ですよね?
体が緊張したまま時間が経つと痛くなるのは想像できますか?

──はい、悪い姿勢(力が抜けた状態)だと腰が痛くなってしまうから、良い姿勢(緊張した状態)になろうと無理してキープした結果、痛くなるんですね。

おわかりいただけますでしょうか?

ここがなんというか、表現が難しいというかややこしいというか、矛盾しているようにとらえられがちというか・・・

すごいド直球で言うと
「あなたが良い姿勢だと信じている格好を無理してやろうとするからかえって体が痛くなっているんです!」
ということになります。

むしろ、だらしなく見えるいわゆる「悪い姿勢」でいた方が楽なことが多いというか、そうなってしまうというか・・・

せっかく体が辛くならないようにエネルギーの無駄遣いをしないようにその人の今この瞬間にとっての自然で一番楽な姿勢を体が選択しようと反応しているのに、後付けで刷込まれた良い姿勢になろうとして体の省エネモードを自ら妨害した挙句痛みに苦しむという、超絶自虐行動をとっているのです。

だから私がいつも言うのは
「良い姿勢」になんてなろうとするから痛くなるんですよ
の一言に尽きます。

姿勢とは、気合でなるものではなく、自然となってしまうものなのです。
自然体が一番。
逆らえば逆らうほど体には負担がかかります。

しかし、どこも無理せずにすっと立ったり座ったりできるならそっちの方がいいとわかっていても
あまりにもだらしなく見える立ち姿や座り姿勢は(主に社会的理由で)いろいろと都合が悪いということも理解できます。

そういう理由があるときに、一時的に無理をしたら終わった後ちゃんとスイッチを切ってリセットする
クッションや姿勢サポート系のグッズなどを使って少しでも体が楽な姿勢を負担なくキープできる術を探す
などの努力はやってみる価値があります。
グッズ系は相性がありますが、いいものと出会えると生活が変わったりします。

ゼロか100か、白か黒か、という両極端になるのではなく
できるところはやって、できないところはそこそこにして、今までよりはマシになる自分なりのよさげな「あんばい」を探してみるとまずはいいと思います。

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