昔「赤ちゃん整体が必要ない子はいない」という私にしては割と攻めた記事を書いたことがありますが
その気持ちは今も変わらず、むしろやっぱり赤ちゃん整体が一番大切!と思いは強くなる一方です。
重要性を改めて認識しているというのはもちろんですが、妊娠する世代の母体の状態が年々悪化していると感じるからです。
20年前に整体を勉強し始めた頃、がんばって勉強して、妊婦さんや赤ちゃんの体をよくしていけば10年後20年後は少しでも状況がよくなるかも・・・という期待がありました。
が、自分が関われる人数などたかが知れていますし、そもそも妊婦さんや赤ちゃんに整体など必要ないと思う人の方が数が多いわけで
何年もたってから「あれやっててよかったんだなあ」と実感していただけることは多いですが、
問題意識のない人にとっては現在進行形のときはよさが実感しにくいという
きわめて成果の見えにくいものであることが余計に理解を得にくくしていると感じます。
でも、前述したとおり、その時はそれほど実感できなかったとしても、のちのちになってから「よかったです」と伝えていただけることも多く
通い続けてくれているお子さんの成長発達具合を見ると、やっぱりメリット大きい、と自信を持って言えます。
そのメリットのひとつに「自分の楽な姿勢や動き方を知っている」というのがあります。
そんなの誰でも知ってるでしょ、と言われそうですが、
そんなことはありません。
多くの方は、かくいう私自身も含めて「力を抜いて」寝ることがでいなかったり、わざわざ腰が痛くなる姿勢で過ごしていることがとても多いです。
なぜわざわざつらい姿勢でいるのか?と不思議に思えますが、本人としてはそれが自然なのです。
他人からしたら理解不能なその行動には、一応それぞれそうなる理由があるのですが、理由は本当に様々なのでここでは割愛します。
楽な姿勢を体がちゃんと知っていて、何かの理由でそれができないだけの方は
体を整えて、できない理由がなくなれば自然と楽な姿勢になってくれるので回復がいいです。
が、生まれたときからずっと楽な姿勢になったことがない人(簡単に言うと常に体が緊張していて力を抜くのが苦手な人)は
そもそも今よりも楽な姿勢を知らないので、やったことがありません。
やったことがないものは取り戻せないので
取り戻すのではなく「新しく獲得」する必要があります。
成長とともに獲得する発達行動には、妨害がなく条件がそろえば自然と獲得するタイミングがあります。
それが〇か月で□□ができるようになる、といういわゆる0歳の赤ちゃんの発達です。
寝たきりで動けない状態からだいたい1年半かけて一人で立って歩けるように進んでいきます。
が、その時期をすぎてしまったり、別の動きで代替して進んでしまうと
後からその動きをできるように整えても、勝手にできるようにはならず
改めて獲得するための労力が必要になります。
スポーツ選手がよりよい成果を出すためにフォームを改良するみたいなイメージをもっていただければ
そんなに簡単に変えられるものじゃないというニュアンスは伝わるかと思います。
ハイハイせずに立って歩けるようになった赤ちゃんは、ハイハイができる体になったとしても、自らハイハイすることはありません。
ハイハイせずとも移動できる状況で、わざわざ効率が悪い方へは戻りません。
だから、その体験をさせたかったら後から遊びの中に組み込むなどの別の方法で「わざわざ」やらせなければ体験しないままなのです。
たくさんの動きを自分で学んで獲得する0歳の時期は
変な緊張がなく、月齢に応じて自由に動ける状態であれば外野が何かをしなくても
放っておけば勝手に次のステージ次のステージと進んでいきます。
しかし、生まれたときから緊張しっぱなしで凝りかたまっていれば自由に動くことができません。
また、体の準備状態を無視した抱き方を続けたり、座れる時期でもないのに無理にお座りさせたりしていると余計に体がカチカチに固まるので
ますます必要な動きを獲得しにくくなります。
体がかたいかたいって、生まれたての赤ちゃんはやわらかいでしょ?ともよく言われますが
現実は違います。
あ、いや、本当は赤ちゃんはやわらかい生き物なのですが、いろんな原因でかたくなっている子ばかりなのです。
それを「かたい」と思えるママは少数派で、生まれたときからそうだから、うちの子は生まれつきこんなもの、と理解していることが多いです。
赤ちゃんの体がかたくなる原因はママの体の状態があまりよくないとか、出産時に吸引分娩や帝王切開で引っ張りだされたとか、育児の扱いが雑だとか・・・です。
一般の方が明確にわかるのは、分娩方法ですが
実際に主な原因となっているのは母体の状態と育児の扱いの方で、合わせ技が多いですが、最も影響が大きいのは育児の扱い方です。
そして、自分の扱いが雑であるということを自覚していない場合がほとんどなのです。
赤ちゃんの体がやわらかいかどうかを感じ分けられる感覚があれば、扱い方で赤ちゃんの体が緩んだり緊張したりするのも感じ分けられます。
そしてやわらかい体で「快適」にすごしていれば、自力でスムーズにたくさんの能力を身に付けます。
0歳は今後の人生の土台をつくる超大切な時期です。
成果が感じにくいものではありますが、0歳をどう過ごすかで将来肩こり腰痛と親友になってしまうかどうかを左右するといっても過言でありません。
今0歳のお子様がいるママ、これから出産されるママでこの記事にたどり着いたという方は、その大切さが理解できるということです。
決して騙してはいませんが、騙されたと思って
赤ちゃんはやわらかい、という一般のイメージと我が子の柔らかさは合致しているか?と向き合ってみてください。
もしイメージよりもかたいかも?と感じたならば、どういう抱っこの時にやわらかくなるのか、かたくなるのか、なでなでしてあげるとどんな反応をするのかなど、注意深く観察してあげるとお子さんの体が解決のヒントをくれますよ。